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自分自身のキャリアについて考える時、「もっとキャリアアップしたい」「今のままでキャリアアップできるのだろうか」など、キャリアアップという言葉が浮かんでくる方も多いのではないでしょうか。
今回はキャリアアップとは一般的に何を意味するのか、どのような捉え方があるのかを解説します。その上でキャリアアップを考えるための具体的なプロセスを紹介します。
この記事を読むと、自分にとってのキャリアアップとは何かがわかり、キャリアアップのイメージをより具体的に持てるでしょう。キャリアアップするための意思決定や目標を決めるヒントになれば幸いです。
「キャリアアップ」とは?
キャリアアップという言葉を聞いてどんなイメージを持つでしょうか。一般的には「より高い専門的知識や能力を身につけること。経歴を高めること」という意味で使われることが多いです。人によっては「高い地位や高い給料がもらえる仕事への転職」を想像する人もいるでしょう。
キャリアアップの意味は人によってさまざまですが、ここからはキャリアアップに繋がる要素について具体的に解説していきます。
スキルの獲得・スキルアップ
仕事に必要な技能や能力、知識を身に付けたり、高めること、または資格を取得することはキャリアアップに繋がります。
たとえば経理職であれば日々の伝票起票からスタートし、徐々に月次決算、年次決算ができるようになることや、簿記など会計関連の資格を取得することが当てはまります。
専門的なスキルだけではなく、コミュニケーションスキルやマネージメントスキルのような汎用的なスキルを磨くこともキャリアアップには重要でしょう。
昇進・昇給
社内での役職や給与が上がることをキャリアアップと捉える場合もあります。例えばリーダー職や管理職になったり、役職は変わらなくても社内での等級が上がるなどです。または転職によって役職や年収を上げることもあるでしょう。
新たな仕事への参画や責任範囲の拡大
現在行っている仕事の中で新たな仕事を経験したりプロジェクトに参画することを通じて、スキルアップが求められ、キャリアアップに繋がることもあります。また、これまでよりもより重要な仕事や難易度の高い仕事を任され、責任範囲が拡大していくこともキャリアアップと言えます。
異業界や異職種への挑戦
転職や部署異動、または起業や副業によって、今までとは異なる業界や職種に挑戦することもキャリアアップになり得ます。新たなスキルや知識を獲得したり、人間関係を構築したり、これまでの経験を応用させることが必要となります。
組織内キャリアを説明する3次元モデルとは?
ここまで解説してきたキャリアアップに繋がる要素は、「組織の3次元モデル」で説明することができます。組織心理学の創始者であるエドガー・H・シャインは、組織内のキャリアの移動を円錐状のモデルで説明しました。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.151より引用
- 第1の次元は「機能」の軸で、この軸に沿った移動は製造→販売→マーケティングというように組織の部門間の機能的境界を移動するプロセスである。企業内の配転、異動などがこれに当たる。
- 第2の次元は「地位」の軸で、見習社員→1等級→2等級→係長という変化で、縦の昇進などがこれに当たる。
- 第3の次元は「中心性」の軸に沿った移動である。これは同一部署、同一地位内での仕事の中身が組織にとってより重要で中心的なものへ異動していく過程である。すなわち、地位、機能が同じでも、自己の重要性が中心化する傾向である。
この3つの次元は必ずしも独立してはおらず相互に関連している。
キャリアコンサルティングをしていると、「ここ数年職種も役職も変わらないのでキャリアアップできているのか不安」といった相談を受けることがあります。
しかし3次元モデルの「中心性」の軸で考えると、より重要な仕事を任されるようになっていたり、より大きなリーダーシップを発揮するポジションになっていることに気づくことができるでしょう。
出典:木村周・下村英雄『6訂版キャリアコンサルティング 理論と実際』一般社団法人雇用問題研究会、2022年、p.230-p.231より引用
キャリアにはアップもダウンもないという考え方も
「キャリアアップ」と対比して「キャリアダウン」という言葉を耳にすることもありますが、GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムでは「キャリアにはアップもダウンもない」という考え方をしています。
何をもって「アップ」「ダウン」とするのかは、その言葉を用いる人の価値判断が含まれており、意味することは人それぞれです。たとえば社内で花形と言われるような部署に異動になった時、周りから見ればキャリアアップのように思えても、当の本人にとっては希望しない異動でありキャリアダウンと捉えていることがあります。
自分にとってのキャリアアップとは何を意味するのか、どんな価値観が反映されているのかを一度じっくりと考えてみることが大切です。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.26より引用
「外的キャリア」と「内的キャリア」という捉え方
キャリアアップについて考える際に、「組織の3次元モデル」で説明できる職種、地位、仕事の重要性のような外から見える基準だけで捉えることはできません。本人にとっての満足感、やりがいなど外からは見えない基準もあります。
ここからはエドガー・H・シャインが提唱した「外的キャリア」と「内的キャリア」という捉え方について解説します。
「外的キャリア」と「内的キャリア」とは?
「外的キャリア」は、職業、仕事内容、地位、実績、資格、年収など客観的に判断できるものを指します。いわゆる職務経歴書や履歴書で表現されるキャリアのことです。
一方「内的キャリア」は、自分の仕事人生の中で、どこに進んでいるのか、どのような役割を担っているのかについての主観的な感覚です。仕事へのやりがいや達成感、満足感といった本人にしかわからない価値観を指します。
一般的にキャリアアップというと「外的キャリア」のことをイメージする人が多いのではないでしょうか。しかし、いくら人が羨むような華々しい実績を上げ高い地位や報酬を得ていたとしても、本人にとっては満足感を得られずキャリアアップと感じられないということがあります。
筆者はキャリアコンサルティングで相談者のキャリアの棚卸しを行う際に、「当時の自分に点数をつけるとしたら何点ですか?」と聞くことがあります。
点数の理由を聞くと「成果は出せたが、忙しすぎて自分の時間がなかったのであまり満足できなかった」、「新しい仕事を任されて悩むこともあったが、周囲の人と協力しながら仕事ができて充実していた」など、「外的キャリア」だけではなく「内的キャリア」の観点からも自分のキャリアを振り返る方が多いです。
人はさまざまな学びや仕事の経験を積む中で、「外的キャリア」と同様に「内的キャリア」も発展させていくことができます。実際に仕事を経験する過程で、これまで興味を持てなかったことに面白味を感じられるようになったり、自分がどんな時に充実感を感じられるかわかるようになったりします。
自分のモチベーションの源泉や価値観と向きあい続けることが、自分らしいキャリアを実現する上で重要です。
ワークライフバランスの改善も重要な要素のひとつ
「内的キャリア」を重視した具体的な例として、ワークライフバランスの改善を目指すことが挙げられます。
自分にとって理想の働き方を考えた際に、仕事だけに自分の時間やパワーを費やすのではなく、プライベートも大切にしたいと考える人は増えています。また、育児や介護、病気療養などでワークライフバランスを考えざるを得なくなることもあるでしょう。
人によって望ましいワークライフバランスは異なりますし、さらに人生のさまざまなステージや置かれた環境によっても変わってきます。
その時の自分にとっての理想の働き方、生き方を考え、「外的キャリア」と「内的キャリア」のバランスを意識しながら自分のキャリアを捉えることが、納得感のあるキャリアアップに繋がるのではないでしょうか。
「キャリアアップ」を考えるプロセス
ここからはキャリアアップするためにはどのようなプロセスで考えていけばよいのか解説していきます。キャリアアップに関する意思決定や目標設定のプロセスについて、具体的な方法を紹介します。
「キャリアアップ」に向けた意思決定や目標設定は人それぞれ
キャリアアップの意味は人によってそれぞれ違います。したがって、そのための意思決定や目標設定も人それぞれです。専門性を高めたい人、仕事の幅を広げたい人、未経験の仕事に挑戦したい人、年収を上げたい人、それぞれの価値観があり、それに基づいた意思決定や目標設定があります。
キャリアアップと聞くと、転職という選択肢が浮かぶ人も多いかもしれません。しかし、今の会社で異動や昇進を目指す、資格取得や新たな学びに挑戦する、副業やボランティアのような別のフィールドを見つけるといったこともキャリアアップに向けた選択肢です。
人によっては中長期的なキャリアアップに向けて、今は育児や介護などを優先するためにあえて現状を変えず、動ける時期になったら行動を起こすという意思決定をすることもあるでしょう。
自分にとってのキャリアアップの意味や目的、または置かれた状況を踏まえて、キャリアアップに向けた意思決定や目標設定を行うことが大切です。
キャリアコンサルティングを受けながらじっくり考える
自分ひとりでキャリアアップの具体的な方法を考えようとしても、なかなか考えがまとまらなかったり、堂々巡りになってしまうことがあります。
そのような時にキャリアコンサルティングを受けて、キャリアコンサルタントと対話しながらじっくり考えることで、考えを整理したり、自分ひとりでは気づかなかった視点を持つことができます。
GCDFではキャリアに関する意思決定をする際に経ると考えられる過程を、「キャリア・プランニング・プロセス」と呼んでいます。
具体的には「自己理解(Self)」「選択肢に関する情報収集(Option)」「統合・意思決定(Match)」「目標設定・行動(Action)」のプロセスになります。キャリアコンサルタントはさまざまな方法を通じてこのプロセスにかかわり、必要な支援を行います。
たとえば、キャリアアップのために現職でさらなる活躍の場を見出すか、転職するか悩んでいたとします。
まずは、自己理解(Self)が深まるよう、職業への興味関心、自分の価値観、抱えている問題などに関する情報を収集します。スキル、適性、好ましい職場環境、個人にとっての現実(育児の必要性や家計など)、役割、将来の希望や目標なども明確にしていきます。
自分にとってのキャリアアップとは何を意味するのか、外的キャリア・内的キャリアの両面から整理していきます。
次に、選択肢に関する情報収集(Option)を行います。職業や仕事内容、経済動向、職業や仕事内容に求められる要件・スキルなど、自分がとり得る選択肢に関する情報を収集します。
自分が希望するような仕事は社内外に存在するのか、どのような経験やスキルが求められるのか、収入や働き方などの条件について情報収集します。
次は統合・意思決定(Match)のプロセスです。可能性の確認、自分にとっての価値の評価などによって、長期・短期の選択肢を選びます。
現職で働き続けた場合と転職した場合にそれぞれ起こり得る望ましいことおよび望ましくないこと、その選択肢をとる際に障害となること、その選択肢をとるにあたって必要な準備について情報を収集し、選択します。
最後は目標設定・行動(Action)のプロセスです。目標を設定し、目標達成のために必要なステップを考え、行動に移します。
現職でキャリアアップをするならば、具体的に目指したい部署や役職を定め、いつまでにどのような方法で実現するか考えていくことになるでしょう。転職でキャリアアップをするならば、いつまでに転職を実現するか目標を決め、そこから逆算して転職活動のスケジュールを計画し、実行していきます。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.28-p.29より引用
キャリアコンサルティングを通じて、目標を設定した例
キャリアコンサルティングを通じてキャリアアップのための目標を設定した事例を紹介します。
ケース1 Aさん
今の会社でシステムエンジニアを10年続けており仕事は難なくこなせてはいるが、最近物足りなさを感じるようになり、転職も視野に入れて考えたいと相談に来ました。
キャリアコンサルティングでは、Aさんのキャリアの棚卸しを行いました。これまでの仕事で培ったスキルを言語化することに加え、印象深かった仕事や、どんなことに興味関心があったのかを話してもらいました。
すると物足りなさの理由は、ここ数年新しいことへの挑戦ができていなかったからだとわかりました。Aさんはシステムの開発や運用をこれまで経験してきましたが、今後はプロジェクトマネージメントもできるようになりたいという自分の気持ちに気づきました。
同時に今の会社が好きで、顧客や職場からも評価されていることを再認識しました。Aさんは転職よりもまずは今の会社で新たな仕事に挑戦することを決心しました。社内でプロジェクトマネージメントの仕事をしている先輩に話を聞いてみたり、関連資格について調べるという目標を設定しました。
ケース2 Bさん
育休から復帰したものの、出産前に行っていた営業ではなく営業企画の仕事を行うことになり、今後どのようにキャリアアップしていけるのか悩んで相談に来ました。
キャリアコンサルティングでは、Bさんにとってのキャリアアップとは何を意味するのかを深める対話を行いました。その上で今から10年後、20年後、30年後のキャリアプランを立てることにしました。仕事面だけではなく、家庭(妻として母として)、プライベート(趣味など)、収入といった複数の側面から理想の状態を考えてもらいました。
Bさんはキャリアプランを考える中で、将来的には副業として自分でビジネスをやってみたいという気持ちがあることに気づきました。当初は営業の仕事から離れたことをネガティブに捉えていましたが、営業企画として戦略を立てたり数字の分析を行うことが将来の自分のありたい姿の実現に繋がると感じられました。
そこで、営業企画の仕事に必要なデータ分析スキルやプレゼン資料作成スキルの向上を目標として設定しました。また、中長期的にはマーケティングや事業企画の仕事にも挑戦するという目標も設定しました。
キャリアコンサルタントになって「キャリアアップ」を支援する
キャリアアップについて考える際に、対話を通して考えを整理したり壁打ち相手となってくれるキャリアコンサルタントの存在は大きなものです。ここまでの記事を読んで、キャリアコンサルタントに興味を持った方もいるかと思います。
ここからはキャリア支援の専門家であるキャリアコンサルタントになるための、「キャリアコンサルティング養成講習」ついて説明します。
1対1の支援に必要な、キャリアコンサルティングの基礎力を身につけられる
キャリアコンサルタントになるためには、国家資格キャリアコンサルタント試験に合格し、キャリアコンサルタント資格を取得することが必要です。キャリアコンサルタントの資格取得を目指す方の約9割が、「キャリアコンサルティング養成講習」を受講しています。
キャリアコンサルタント養成講習「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」では、12日間の体験型プログラムにより、キャリアコンサルティングに必要なスキルを身につけます。
このプログラムの特長は、カウンセリング実技の学習、訓練が充実している点です。プログラムの全12日間のうち、6日間はカウンセリング実技講義です。カウンセリングの進め方や相談者への関わり方について、ロールプレイングや指導を通じて体感しながら理論的に学ぶことができます。
実際の現場を想定した実践的な学習内容になっており、1対1の支援に必要なキャリアコンサルティングの基礎力を身につけることができます。
GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム 講座カリキュラムと料金
キャリアに関する理論を体験的に学び、支援現場で活かす
「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」では、キャリアに関する理論(発達論的アプローチ・構造的アプローチ・社会的学習理論アプローチ・意思決定論的アプローチ)を体験的に学習します。
キャリアに関する理論を学ぶことで、実際の支援現場で以下のような観点から活かすことができます。
- 相談者が、自分自身を理解する枠組みを提供することができる
- 相談者の抱えやすい課題や、その背景を予測することができる
- 相談者の課題解決方法や、行動支援の指針を提供できる
また、キャリアコンサルタントは、理論の学習を通して自分を振り返ることで、自分の価値観や考え方のくせが明らかになり、相談者を支援する時に偏見をもたないように気をつけることができます。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.91より引用
「キャリアアップ」についてのまとめ
キャリアアップについてまとめました。
- キャリアアップの要素は、スキルアップ、昇給・昇進、新たな仕事への参画や責任範囲の拡大、異業界や移植種への挑戦など複数ある
- キャリアには「外的キャリア」と「内的キャリア」という捉え方がある
- 「外的キャリア」と「内的キャリア」のバランスを意識しながら自分のキャリアを捉えることが、納得感のあるキャリアアップに繋がる
- キャリアアップを考える際にキャリアコンサルティングを受けることは効果的である
- 「自己理解」、「選択肢に関する情報収集」、「統合・意思決定」、「目標設定・行動」のプロセスでキャリアアップを考えることができる