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森の中の同窓生たち

「人生100年時代」、どこかで一度は聞いたことがあるという方も多いことでしょう。

2016年、イギリスの組織論学者であるリンダ・グラットンが、著書『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』の中で、人生100年時代の到来を提唱したのをきっかけに、この言葉が知れ渡りました。

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』の発売からは8年近く経ちましたが、この間に世界ではコロナ禍や自然災害、ウクライナ情勢の変化などさまざまな出来事がありました。これまでは普通だと思っていた生き方が、普通ではなくなるような経験も多くしてきたことと思います。

8年前にも増して先の見通しづらい時代の今、100年近い人生をどのように元気に生きていくか、不安を感じている方も多くいらっしゃると思います。

今回は、人生100年時代について、生き抜くために必要な資産や考え方についてご説明します。

この記事を読むことで、改めて人生や人生の捉え方を考えてみることで、日々前向きに元気に過ごせることを願っています。

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人生100年時代とは

人生100年時代とは、リンダ・グラットンが『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』の中で提唱した言葉です。

著書の中では、「2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。(中略)いま*この文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい」と述べられています。
*この本が発行されたのは2016年11月です。つまり、2016年時点で50歳未満の人に対して言われていると想定します。

なんとなく平均寿命の80代あたりを見据えてきた方も多いと思います。しかし、それよりもさらに20年以上生きるとなると、人生の計画も準備も変わってきます。

個人はもちろん、企業も国も追いついていない人生100年時代に、私たちはどのように生きていけばよいのか。意識すべきことについて、次から触れていきます。

人生100年時代を生き抜くために備えておきたいことは

人生100年時代のイメージ

10代後半から20代前半までに学校教育を終え、新卒で企業に就職し、その数年後に結婚、子供が生まれ、60代には引退して余生を過ごす・・・

上記は、年齢と人生で起きるイベントが強く結びついた生き方で、これまでなら普通と言われてきた生き方とも言えます。

一方、100歳まで生きるとなれば、年齢と人生のイベントを関連付けた生き方を続けることが、もはや現実的ではないかもしれません。

長い老後を見据えたさまざまな資産形成

最近では新NISA制度がスタートしたこともあり、投資を始めるための情報も多くなってきました。

長く生きるには生活費がかかるけれど、貯蓄を続けるだけでは老後資金が増えず心もとない・・・と感じていた方で、投資を始めた方もいらっしゃるかもしれません。

資産形成の仕方については、ファイナンシャル・プランニングの専門家による詳しい情報もメディアなどで多くあると思いますので、ここではこのあたりにしておきます。

後半では、物のように形を持たないもののお金以上に重要だとされる「無形資産」についても触れます。

大人の学びの必要性・・・10代・20代の学校教育の知識だけでは心もとない

社会がスピーディーに変化しているので、数十年前の知識やスキルは今の普通ではなくなり、通用しないことも増えています。

学校教育を受けていた頃に覚えた歴史的出来事の年号が変わったとか、学校では習わなかった文書作成や表計算ツールの使い方を学んだとかはわかりやすい一例ですが、学校教育の学びだけでは心もとないと思った経験、誰しも一度はあると思います。

最近では、学び直しと言えば「リスキリング」と言われがちですが、リスキリングは「デジタル化による新たな職業につくことやDX化に対応するために学び直す」ことを指しています。

デジタルに関連する学びはもちろん、自分の人生を豊かにするために、自身が関心を持つことを学び直す人たちも増えています。

リスキリングとは?学び直しが推進される背景と個人が取り組むために必要なことを解説

余談ですが、筆者が学生の頃、芸術関連の講義のために教室へ行くと、最前列中央にはいつも高齢の男性が座っていました。
授業よりも遊びのほうが楽しかった当時の筆者はなぜ?と疑問に思っていましたが、今となっては、大人になってから学び直す楽しさやひいては人生の豊かさが理解でき、いつかそういった生き方ができたら素敵だなと思い返すようになりました。

健康寿命を伸ばす

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」を指します。
平均寿命と健康寿命では10年前後の開きがあり、健康寿命を伸ばせば、すこやかかつ心豊かに生活できる期間が伸びます。そのため、平均寿命と健康寿命の差を縮めることが重要とされています。

平均寿命と健康寿命 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

今後起きそうな社会環境変化

長い人生をどのように生きるかを考える上では、今後起きそうな社会環境変化についても意識しておくことが重要です。

ここでは、起こり得る変化をいくつかピックアップします。

平均寿命はこれからも伸び続ける

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』の中では、平均寿命は100歳以上まで伸びる可能性があることが述べられています。

下記のグラフでは、2007年生まれの子どもの半数は107歳に到達するだろうという予想もあります。

主要国の健康寿命・平均寿命

出典:⼈⽣100年時代構想会議 平成29年11⽉ 内閣官房 ⼈⽣100年時代構想推進室

AIやロボットの進化

AIやロボットの進化はめざましく発展を遂げています。
つい数年前まではなかったAIもすっかり日常の中に浸透しつつあり、仕事や職業にも変化が起きていることを実感してきている方も多いと思います。

今後、さらにAIやロボットが発展するとなれば、自動化される仕事が増える可能性もありますし、AIに関わる仕事もさらに増えてくることでしょう。

医療や教育分野でもAIの活用によって、治療の質や学び方が変化し、さらなる長寿化に寄与することも考えられます。

気候変動による健康上の脅威

自然災害の増加や夏の酷暑・・・つい数年前までは何気なく生きられていたのが、今では何らかの対策を意識的にしなければ、またしていたとしても命を脅かされてしまう状況が明らかに増えました。

地球温暖化については、温室効果ガスの排出削減に向け、世界中で対策が講じられていますが、人間の健康上の脅威はまだ続きそうです。

人口減少による社会構造の変化

年々世界の人口は増えている反面、日本の人口は2023まで13年連続で減少しています。
現在1億2,500人近い人口は、年々減少幅が拡大し、2055年頃には、1億人を切ることが予想されています。

人口が減少すると、国内での需要減少による経済規模の縮小、労働力不足、投資先としての日本に魅力が低下し国際競争力の低下、医療・介護費の増大などによる社会保障制度の給付と負担のバランスの崩壊、財政危機、基礎的自治体の担い手の減少など様々な社会的・経済的な課題が深刻化することが考えられます。

出典:総務省統計局「人口推計(2023年(令和5年)10月1日現在)」・総務省「平成30年版 情報通信白書のポイント 第1部 特集 人口減少時代のICTによる持続的成長

人生100年時代をどのように生き抜くか

人生100年時代の到来に加え、今後起きそうな社会環境変化を見ると、これから生きていくことに何かと不安がつきまといます。

来年の今頃、元気でいるか、会社や国はどうなっているのか・・・予想がつかない未来に向けて、どう生きていけばよいのか。

誰もどうなるかわからないのだから、できることは変化に対応してどう生きるかを定点でみていくこと。定期的にキャリアプランを見直しながら、そのときのベストを積み重ねていくことが大切になってきます。

人生の節目は年齢から自分らしい生き方によるものへ

経済成長や人口増加が前提にあった時代、私たちは就職や結婚、出産、定年退職など、人生の節目は標準的な年齢ありきで決めるものとして捉えていました。

しかし、人生100年時代、かつ変化の激しい時代ともなると、年齢を軸にして計画的に生きることはなかなか困難であり、いかに変化に対応しながら生きていけるかが大事になってきています。

慶應義塾大学名誉教授 花田光世先生は「人生100年時代のライフキャリア」について、「年齢による節目づくりから、自分らしさのライフスタイル構築による能動的節目づくりへ」と提唱されています。

これまでは、個人の内的価値観や働きがいなどに関係なく、組織によって年代別にキャリア観が形成されがちでした。寿命が伸び、かつ未来の読みづらい昨今では、個人によって節目が訪れる時期が異なるのが自然になっています。自分らしい働き方を実現し、節目は新たなチャレンジに向けて自分で作っていくことになります。

また、今後は70代や80代までキャリアが延びるため、60代での引退を見据えて働くのではなく、いくつになっても、新しいキャリアステージに到達したときには、まず仕事の基本(Must)をおさえ、できること(Can)をつくり、拡大することが働きがいの拡大(Will)につながっていくのであり、キャリア形成はそのプロセスの連続であると述べられています。

【CCA】キャリアコンサルタント向け知識講習(WEB)

【CCA】人生100年時代における中高年のキャリア形成支援

人生100年時代に大切になってくる「無形資産」

長く生きるためには、まず生活費となるお金を持っていなければと考えることと思います。

もちろんお金を持っていることは大事ですが、お金はモノやサービスなどを得るための交換手段であって、お金そのものが幸せをもたらすのではありません。

『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』では、イキイキした人生には、「無形資産」と呼ばれる資産が重要であると提唱されています。

スキルや知識などの「生産性資産」

災害やトラブルなどでお金や所有物がなくなってしまったとしても、これまで学び培ってきたスキルや知識は消えることはありません。

最近では、技術の変化サイクルが早くなり、「生産性資産」を磨き続けることも大切になってきています。

健康や家族・友人などの「活力資産」

せっかく長く生きるなら、健康を維持することは大切です。さらに、家族や友人との良好な人間関係を維持することは何物にも代えがたい資産であることは言うまでもないでしょう。

変化に柔軟に対応する「変身遺産」

私たちは変化の激しい時代に生きています。変化に対していかに「しなやかに」対応できるかも、100年時代を元気に生きるために必要な資産と言えるでしょう。

変化にはリスクがつきものです。できれば変化せずにいたいと思うこともあるかもしれませんが、社会が変化する中で自分自身も変化していくことはより重要になってきています。

イキイキした人生につながる「キャリア」の学び

さもすれば、これまで無意識のうちに当たり前のようにインプットしていた「普通」の生き方が通用しなくなってしまった時代。

これからも元気に、イキイキと生きていくためには、まず「キャリア」についてじっくり学び、考えることも一つの方法としてあります。

筆者は、十数年前にGCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム(現在のキャリアコンサルタント養成講習)を受講しました。
当初は資格取得が目的で、もちろん資格取得もしましたが、講習で学んだことは資格取得よりも大きな財産となりました。

それまではキャリアといえば就職や転職活動をすることだと思っていたのが、講習の中でキャリア理論や意思決定論などを学び、仲間と意見交換した経験によって、キャリアへの捉え方が変わりました。十数年経った今も、GCDFで学んだことが、どう生きるか考え、悩むときの基盤となっています。

そのような経験から、「キャリア」について学ぶことをおすすめしたいと思います。

自分の人生を客観的な視点でも考えられるようになる

どう生きていきたいか?といきなり漠然と言われても、考えてもみなかったことを突きつけられて途方に暮れることもあるでしょう。

どんな生き方や人生の考え方があるのか、「キャリア」について理論を学ぶことで、キャリアに対して新たな視点をもつことができ、自分自身のキャリアの捉え方が変わることもあります。

今は人生の中で発達理論的にはどのような年齢なのか。
これまでのターニングポイントではどのような意志決定をしてきたのか、職業決定時はどのような要素を重視してきたのか、組織や社会などの関係の中でどのような役割を担ってきたのかなど、さまざまな角度からこれまでの自分自身を捉え直すことができます。

キャリアコンサルティングを受けて明確になることも

自分の考え方のクセは、ひとりで悶々と考えていても気づくことはできません。
そのようなときに、キャリアコンサルティングを受けることで、自分の思考のクセや考え方を客観的に見て、気づくことができます。

キャリアコンサルタント養成講習では、ロールプレイを通じて、自分の考え方のクセに気づく事ができます。自分が当たり前と思っていたことがそうではなかった、この点が変わることで、よりよい意思決定ができるようになるかもしれないなど、発見があります。

仲間と一緒にキャリアについて学び、理解を深める方法も

キャリアコンサルタント養成講習は、仲間とともに学びます。

例えば、転職するか悩んでいるという方の相談ケースを、グループの仲間と一緒に検討すると、多種多様な意見が出ます。ひとりでは気づかなかった視点がたくさん出てきて、この方のパーソナリティや価値観を考えたら、この支援のほうがいいんじゃないか?などといった建設的な意見交換ができます。

正解のないキャリア形成を、どうやってしていくか、グループワークの経験の中にもたくさんヒントが詰まっています。

まとめ

最後に、人生100年時代についてまとめました。

  1. 人生100年時代とは、リンダ・グラットンが提唱した言葉
  2. 2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きると予想
  3. 年齢と人生のイベントを関連付けた生き方を続けることがは非現実的
  4. 今後起きそうな社会環境変化にも関心を向ける必要あり
  5. キャリアの学びがイキイキした人生につながる