キャリアコンサルタント養成講習 GCDF-Japan
無料相談会の予約受付中!
今すぐ日程を見る
社会環境が急速に変化し、DXや少子高齢化の進行、さらにコロナ禍の影響・・・「私はどのように働きたいのか」「私はどういう人生を送っていきたいのか」とひとりひとりが自らの生き方を問い続ける状況が続いています。このような中、キャリア支援にかかわる専門家「キャリアコンサルタント」の役割や活動にも期待がより高まってきています。
キャリア支援に興味を持ち、キャリアコンサルタントの資格取得を検討している方から、「キャリアコンサルタントはどのくらいの収入を得られるのか?」「どのような働き方をしているのか?」とご相談をいただくことがあります。
今回は、独立行政法人労働政策研究・研修機構による研究報告書、東京ハローワークの発表データを元に、キャリアコンサルタントの年収と働き方について解説します。
本記事を読むと、収入と働き方の両側面から、キャリアコンサルタントになって就職・転職を検討すべきか理解を深められるでしょう。
キャリアコンサルタントの年収は?
2018年に発表された独立行政法人労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査*1」によると、キャリアコンサルタントの年収は200万円未満から1,000万円以上までと幅広いことがわかっています。
キャリアコンサルタントの年収帯でもっとも多いのは?
「労働政策研究報告書 No.200」によると、アンケートに回答したキャリアコンサルタントの最近1年間の税込み個人年収のうち、最も多いのは200万円から400万円未満で全体の33.2%を占めています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
参考までに、報告書の調査時期と同じ2017年の国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査*2」で発表された平均給与は432万円です。下のグラフをみると、キャリアコンサルタントは国税庁が実施した民間給与実態統計調査に示される全体の傾向とおおむね変わらない年収を得ていることがわかります。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」より引用
出典
*1 独立行政法人労働政策研究・研修機構が、キャリアコンサルタント有資格者を対象に2017年6月から7月にかけてアンケートを実施し、キャリアコンサルタントの働き方や活動内容等について実態を把握し、その現状と課題を明らかにすることを目的に作成した報告書。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(平成30年3月16日)」 を参考
*2 「給与所得者数は、4,945万人(対前年比1.6%増、76万人の増加)で、その平均給与は432万円(同2.5%増、106千円の増加)となっている」との記載がある。
国税庁「平成29年分 民間給与実態統計調査」 を参考
東京ハローワークの求人賃金は月額約23万円以上31万円以下
キャリアコンサルタントの求人賃金についても調査しました。
東京ハローワークが2022年7月に発表した「職種別賃金状況*3」によると、キャリアコンサルタントが属する「その他の専門的職業*3」の求人賃金は22.6万〜31.4万円です。すべての職業の求人賃金が22.4万〜30.7万とのことですから、キャリアコンサルタントの求人賃金は平均並みと言えそうです。
出典
*3 東京労働局 東京ハローワーク「職種別賃金状況(一般常用)」を参考
*4 厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtagには、キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタントの職業分類は「カウンセラー(医療・福祉施設を除く)」に属すると定義されています。 よって、こちらの記事ではキャリアカウンセラーとキャリアコンサルタントは同義として扱っています。(厚生労働省編職業分類では「カウンセラー(医療・福祉施設を除く)」は中分類にあり、細分類に「職業カウンセラー」があります)
厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)jobtag「キャリアカウンセラー/キャリアコンサルタント」 を参考
「厚生労働省編職業分類(平成23年改定)」において、「キャリアカウンセラー」が属する「カウンセラー(医療・福祉施設を除く)」は、大分類「専門的・技術的職業」の中の「その他の専門的職業」に属しています。「その他の専門的職業」には、「カウンセラー(医療・福祉施設を除く)」の他に、図書館司書、学芸員、個人教師、職業スポーツ家、通信機器操作員、他に分類されない専門的職業も含まれます。
厚生労働省職業安定局 ハローワークインターネットサービス「厚生労働省編職業分類(平成23年改定)」を参考
2011年6月に独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「第4回改訂厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容」によれば、「専門的・技術的職業」とは、「高度の専門的水準において科学的知識を応用した技術的な仕事、および医療・法律・経営・ 教育・著述・宗教・芸術などの専門的性質の仕事をいう。 この仕事を遂行するには、通例、大学・研究機関などにおける高度の科学的訓練・その他 の専門的分野の訓練、またはこれと同程度の実務的経験あるいは芸術上の創造的才能を必要とする。 」とされています。
独立行政法人労働政策研究・研修機構「第4回改訂厚生労働省編職業分類 職業分類表 改訂の経緯とその内容」 を参考
キャリアコンサルタントの年収は年齢や活動の場、就労状態によって異なるのか?
キャリアコンサルタントの年収は幅広く、全体傾向はほぼ日本の平均年収並みとわかりました。では、年齢や活躍の場によって違いはあるのか調査しました。
キャリアコンサルティングを専業にしている人はどのくらい?
報告書によると、キャリアコンサルティングに関連する活動をしている人のうち、専任・専業の人の割合は約3割、兼任・兼業の人の割合は約6割であることがわかります。
また、年収と合わせてみると、専任・専業の人では年収200 万円未満もしくは200万円から400 万円未満が多く、また兼任・兼業の人では、兼業比率が 25%未満で年収が600万円から800 万円未満もしくは800万円以上が多くなっています。
年齢別では20代から30代は「400~600万円未満」が最多
年齢別では、年収のばらつきがあることが伺えます。
20 代と30 代では年収が400万円から600万円未満の割合が他に比べて多い傾向になっています。また、40 代では200万円から400万円未満、50 代では800 万円以上の割合が他に比べて相対的に多いことがわかります。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
企業に勤める正社員で600万円以上が多い傾向
報告書では、キャリアコンサルタントの主な活動の場と就労状況は類似した結果であることが伺えます。比較的はっきりとした傾向がみられており、主な活動の場が企業で600万円以上が多いことがわかります。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
加えて、就労状況別に見ると、正社員では400万円から800万円未満、800 万円以上が多数、経営・管理職では600万円から800万円未満、800 万円以上が多くなっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
企業で活動する人たちは、キャリアコンサルティングに関連する活動”以外”で主に生計を立てている、あるいはキャリアコンサルティングに関連する活動”以外だけ”で生計を立てている者が、他に比べて統計的に有意に多いこともわかっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
活動の場が学校・教育機関、需給調整機関、地域、その他等では200 万円未満、200万円から400 万円未満が多く、就労状況が非正規社員では200 万円未満、200万円から400万円未満が相対的に多くなっています。 学校・教育機関、需給調整機関で活動する人たちは、キャリアコンサルティングに関連する活動で主にまたはすべての生計を立てている人が相対的に多いこともわかっています。
キャリアコンサルタントはどんな働き方をしている?
キャリアコンサルタントの就労状況は正社員、非正規社員、フリーランスなど
報告書では、キャリアコンサルタントの就労状況についても調査されています。 数の多い順に、正社員の割合が39%、非正規社員が29%、フリー・自営が11%となっています。年代別に見てみると、20~40代は正社員、50代は管理職、60代以上フリー・ボランティアが多いこともわかっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
キャリアコンサルタントの活動状況は「ほぼ毎日」と「不定期」で約6割
報告書によると、最も多い回答では「ほぼ毎日活動している」が約3割、「週1回あるいは週2~3回程度活動している」が約2割、「不定期に活動している」が3割弱となっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
「ほぼ毎日活動している」の内訳では、企業、需給調整機関、学校教育機関で活動している人が相対的に多く、キャリアコンサルティングに関連する活動ですべてまたは主な生計を立てている人が他に比べて多いこともわかっています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
一方で、「活動していない」が2割で、活動休止の理由としてはキャリアコンサルティングを実施できない環境、あるいは周囲がキャリアコンサルティングの必要性を感じていないことが挙げられました。
キャリアコンサルタントが就いている職種は多様
キャリアコンサルタントが就いている仕事は実に多様です。個人のキャリアが年々多様化・個別化していくにつれて、キャリア支援の知識やスキルが求められる機会が増えていることがわかります。
具体的にはどのような職種に就いているのでしょうか?
報告書によると、最も多い回答では「(主に)キャリアコンサルタントの仕事」の約36%でした。以下、「その他」「人事」「総務・経理・管理」と続きます。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
「その他」は、職業相談、職業訓練、就労支援など公務の仕事と関わりの深い職種、教員、教師、大学教員などの教育関連職種、社会保険労務士、ソーシャルワーカー、臨床心理士などの専門職種、人材育成、人材開発、労働組合等の企業内職種が多いことがわかっています。
キャリアコンサルタントは企業や需給調整機関などで活動、得意分野もさまざま
キャリアコンサルタントはどのような場で活動しているのでしょうか。
報告書によると、最も多いのが企業で3割強、ハローワークや派遣会社などの需給調整機関で2割、学校教育機関で2割弱と続きます。その他では、障がい者の就労支援・職業相談や医療機関、福祉施設などの医療・福祉領域、国や各自治体の行政サービスに係わる公共サービス領域など、さまざまな方面で活動していることがわかります。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
キャリアコンサルティングにおける得意分野(専門分野)では、若年者が54%最も多く、ついで女性、人材育成、中高年、キャリアデザインとなっています。その他では、小中高大までの学生や非正規雇用社員、ジョブ・カードの作成支援や組織開発支援、障がい者や生活困窮者の支援を含め、幅広い分野が挙げられています。
「その他」の選択肢では、離転職者の職業相談・就活支援・再就職支援、さらには人事労務管理、企業内、職場の離職相談など、キャリアコンサルタントの従来からの活動領域と重なるものが多くみられます。一方で、障がい者、生活保護受給者、母子家庭、ひとり親、病気療養中、受刑者、刑務所出所者などもみられました。その他、外国人、留学生、帰国子女、短大生・専門学校生、ニート、引きこもり、不登校、中退者、LGBT、性的マイノリティ等、従来のキャリアコンサルティングの範囲では周辺的あるいは縁辺的に扱われやすい領域を得意分野(専門分野)として挙げた回答もみられました。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用
キャリアコンサルタントの年収と働き方のまとめ
- キャリアコンサルタントの年収は幅広い。全体傾向は概ね平均年収並み
- 企業に勤める正社員で「600万円以上」が多い傾向
- 就労状況別では正社員が約4割、非正規社員が約3割、フリー・自営が約1割
- 活動場所では企業が約3割で最多、次いで需給調整機関や学校教育機関など
- キャリアコンサルティングの得意分野は若年層が約5割で最多、年々細分化
キャリアコンサルタントは20代から70代までと幅広い年齢の人が活動し、働き方は就労状況、活動の場、活動頻度、得意分野など、どれも実に多様です。
キャリアコンサルタントは当初、企業や需給調整機関、教育機関や地域などを主な活動場所としてきましたが、近年では医療・福祉領域、公共サービス領域などでの活動も増えています。今後はさらに多くの場で、多様化・個別化していく個人のキャリアを他の専門家とも連携しながら支援していくことが期待されています。
キャリア支援を必要とする人は、さまざまな場所に今も多くいらっしゃいます。まずは、キャリアコンサルティングについて学び、理解を深めてみるところから始めてはいかがでしょうか。