キャリアコンサルタント養成講習 GCDF-Japan
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国民の生命、財産、安全を守る職業”以外”で、初めての国家資格となったキャリアコンサルタント。
高度経済成長期では、働く人は企業が決めた人事配置や異動に従うといった、企業に依存したキャリアを歩む傾向がありました。ところが、社会経済環境の急激な変化によって、企業を取り巻く環境は不確実性が増大しています。企業は、従業員個人のキャリアに責任を負うのも困難になってきました。
そのような社会背景の中、働く人個人が自らキャリアを形成する、あるいは自らの責任で職業能力開発する必要性が増してきたのです。職業選択や能力開発に関する相談・助言を行う専門家として2016年に生まれたのがキャリアコンサルタントです。

その一方で、キャリアコンサルタントの資格については「資格取得して本当に役に立つのか?」「お金や時間ばかりかかるのではないか?」という質問をいただくことがあります。今回は、キャリアコンサルタントがなぜ「役に立たない」と言われるのかについて考えながら、キャリアコンサルタント資格を持つメリットや将来性について解説します。

本記事を読むと、キャリアコンサルタントという資格が今後のあなたのキャリアにとって必要なものか、また次に何を検討すべきなのかがわかるようになっているでしょう。

キャリアコンサルタントの資格が「役に立たない」と言われる理由

「キャリア・コンサルティング」が日本で初めて取り上げられたのは、2001年5月に厚生労働省が公開した「第7次職業能力開発基本計画」からです。ですので、キャリアコンサルティングの領域は始まって約20年と比較的新しくもあります。
働く人のキャリア自律を支援し、その能力を発揮できる社会の実現に寄与するはずのキャリアコンサルタントが「役に立たない」と言われるのはなぜか、4つの視点から考えました。

資格取得までに時間と費用がかかる

まず1つ目に、キャリアコンサルタントの資格を取得するまでに要する時間と費用が、資格取得後の活動と見合わないのではないか?ということが考えられます。

キャリアコンサルタント養成講習の受講から国家資格の取得までにかかる時間について解説します。下の図は、受講から試験までのスケジュール例です。

第24回国家試験向けGCDF-Japan公開コース日程からみる最短の試験等スケジュール

キャリアコンサルタント養成講習は、150時間以上のカリキュラムを実施することが義務付けられており、約3ヶ月から5ヶ月かけて受講を完了します。その後国家試験の受験、合格発表と続きます。受験直前の勉強も欠かせません。キャリアコンサルタント登録証が手元に届くまでの目安は、3ヶ月コースなら受講開始から10ヶ月前後、5ヶ月コースなら受講開始から1年前後を想定しておくとよいでしょう。

続いて、養成講習の受講から資格取得までにかかる費用についてまとめました。

キャリアコンサルタント資格取得までにかかる費用

内容と費用

キャリアコンサルタント養成講習

約25万円から約44万円(税込)
※講座によって異なります。キャリアコンサルタント養成講習は専門実践教育訓練給付制度の対象です。この制度を活用すると、受講料の最大70%が戻ってきます。
給付制度を利用した場合の受講料例

キャリアコンサルタント試験

学科 8,900円(税込)
実技 29,900円(税込)

キャリアコンサルタント登録免許税

9,000円(非課税)

キャリアコンサルタント登録手数料

8,000円(非課税)

資格取得までの合計

約30.5万円から約49.5万円

※養成講習によっては別途入会金が必要な団体もあります。また、上記には試験対策講座や実力診断試験などの費用は含まれません。

キャリアコンサルタント試験を受験するには、実務経験がない場合は厚生労働大臣が認定するキャリアコンサルタント養成講習の受講を修了することが条件になっていて、受講には費用が発生します。キャリアコンサルタント養成講習の受講費用は各団体によって異なり、約25万円から約44万円の幅があります。専門実践教育訓練給付金の対象の方であれば、後日受講料の最大70%の支給を受けることも可能です。

▼関連ページ
専門実践教育訓練給付金の利用について

このように、資格取得を目指すなら、ある程度余裕をもったスケジュールで、かかる費用も想定しながら計画する必要があります。

出典
キャリアコンサルティング協議会 国家資格 キャリアコンサルタント試験「受験資格
日本キャリア開発協会 国家資格キャリアコンサルタント試験「試験要項
国家資格キャリアコンサルタントWebサイト 登録センター「キャリアコンサルタント試験に合格された方の登録申請
厚生労働省 キャリアコンサルタント講習検索サイト「講習検索

キャリアコンサルタントの資格を持っていなくても就職支援できる

キャリアコンサルタントは名称独占資格であり、業務独占資格ではありません。
キャリア支援の場における主人公は、あくまでも「相談者」です。相談者が自ら意思決定を行い、自ら行動できるようになるために、専門知識やスキルを必要としながらも、自らを律する姿勢や態度、行動規範を元に高い倫理観をもって支援を行うのがキャリアコンサルタントです。

その一方で、キャリアコンサルタントの資格を持っていなくても応募できる、キャリア支援関連職の求人があるのも現状です。キャリア支援職に就くことが目標であれば、資格取得せずに就職・転職活動はできるため、資格を取っても役に立たないと思われるのではないかと考えられます。

出典
キャリアコンサルティング協議会「キャリアコンサルタント倫理綱領

キャリアコンサルタントの資格があれば関連職に就けるとも限らない

キャリアコンサルタントの資格がなくても応募できるキャリア支援関連職の求人がある一方で、資格取得をしてもキャリアコンサルティングの関連職に就けるとも限らないのが現状です。

2018年に発表された独立行政法人労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」によると、アンケートに回答した資格者のうち、キャリアコンサルティングに関連する活動をしている人は合わせて全体の約8割です。そのうち、キャリアコンサルティングに関連する活動を専業にしている人は約3割、兼業している人は約6割とわかっています。

時間や費用をかけてしっかり学び、専門スキルを使って活動したいという方にとって、現状は少し物足りない結果かもしれません。

キャリアコンサルティングに関連する活動の現在の主な活動の場別の特徴

キャリアコンサルティングに関連する活動の専業および専業割合

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用

資格維持にも時間と費用がかかる

キャリアコンサルタントの資格を取得した後も、一定の学習時間と費用がかかります。
キャリアコンサルタントの資格登録を継続するためには、5年ごとに更新申請を行う必要があります。更新申請を行うには、知識講習と技能講習の受講が必要です*。なぜ講習の受講が必要なのかと言えば、クライアントの相談が多様化している中、ニーズに応えられるに相応しい知識と技能を維持・向上するためです。
*技能検定キャリアコンサルティング職種(1級・2級)に合格した場合や1級技能士所持者には全部または一部の講習が免除される特例もあります。

以下に、資格更新時の学習時間と費用をまとめました。

キャリアコンサルタントの資格取得後、資格の維持や更新にかかる費用を一覧にまとめました。

内容と費用

更新講習(知識講習)

学習時間8時間以上
9,000円から35,000円(非課税)
※講座によって異なります。2022年10月現在、26講座が厚生労働大臣の指定を受けています。

更新講習(技能講習)

学習時間30時間以上
〈受講例〉
8時間 20,000円の講座を
4講座受講すると
32時間 80,000円(非課税)
※講座によって異なります。 2022年10月現在、494講座が厚生労働大臣の指定を受けており、資格者は自身の活動領域や能力に見合った講座を自由に選択して受講します。

更新手数料

8,000円(非課税)

資格更新時の合計(例)

学習時間38時間以上
約97,000円~

出典:厚生労働省「キャリアコンサルタントとして活動している方へ」、厚生労働省「キャリアコンサルタント講習検索サイト

キャリアコンサルタント資格取得のメリットは?

キャリアコンサルタント資格取得のメリット

キャリア支援の専門家として活躍できる

キャリアコンサルタント資格を活かしてキャリア支援関連職に就くことは、資格取得の大きなメリットのひとつです。

報告書によると、最も多いのは「(主に)キャリアコンサルタントの仕事」で約36%でした。以下、「その他」「人事」「総務・経理・管理」と続きます。
「その他」は、職業相談、職業訓練、就労支援、就職支援、相談等の公務の仕事と関わりの深い職種や、教員、教師、大学教員などの教育関連職種、社会保険労務士、ソーシャルワーカー、臨床心理士などの専門職種、人材育成、人材開発、労働組合等の企業内職種が多いことがわかっています。

キャリアコンサルタントの現在の職種

※独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」 より引用

カウンセリングの基礎を身につけられる

キャリアコンサルタントには、「職業人生」という重大な問題に悩む人が相談に訪れます。これまで誰にも話さなかったような人生の悩みを打ち明けるため、勇気を出して訪れるという方も少なくないでしょう。そのような相談者が安心かつ信頼して自身の悩みを話せるよう、キャリアコンサルタントにはカウンセリングの基礎力が求められます。

キャリアコンサルタントの資格取得のメリットは、取得までの過程でカウンセリング実技を学び、相談者が安心して相談できるためのカウンセリングの基礎力を身につけられることがメリットのひとつと考えます。

キャリアコンサルタントは「対人支援」の専門職です。専門的知識やスキルを必要とするだけでなく、「個人の人生設計に関わること」の責任と重要性を従前にも増して自覚し、一層高い倫理観を持って活動することが求められています。


出典
厚生労働省「キャリアコンサルティング・キャリアコンサルタント
厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ

人的資源管理、人材マネジメントについて学べる

社会経済環境の変化に伴って、働く人を取り巻く状況も変化し続けています。HRM(Human Resource Management)と呼ばれる人的資源管理、人材マネジメントに関する知識も、キャリア形成に取り組む人を支援するキャリアコンサルタントにとって必要不可欠なものです。

具体的には、キャリアコンサルティングの社会的意義として、社会や経済の動向、キャリア形成支援の必要性の理解のほか、キャリアコンサルティングを行うために必要な知識として、リカレント教育を含む職業能力開発、企業におけるキャリア形成支援、人事管理や労務管理、労働市場、労働関係法令や社会保障制度、メンタルヘルスなどがキャリアコンサルタント試験の試験科目・範囲となっています。また、キャリアコンサルタント養成講習を受講すれば、これらの必要知識を学びながら理解することも可能です。

出典
キャリアコンサルティング協議会 国家資格キャリアコンサルティング試験「キャリアコンサルタント試験科目及びその範囲並びにその細目

日常的なコミュニケーションスキルも磨ける

人間関係を円滑に進めるために必要なコミュニケーションスキル。
コミュニケーションがうまく行かずに人間関係で悩んだ経験、誰しも一度はお持ちではないでしょうか。

キャリアコンサルタントの資格を取得するメリットには、カウンセリング技法を学びながら、コミュニケーションスキルを同時に習得できることも挙げられます。
キャリアコンサルタント養成講習「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」のテキストでは、カウンセリングを進めるための基礎的な能力として3つ挙げています。1つには、相手が言いたいことや言おうとしたことを聴き、「言おうとしていること」を理解するための「聴く力」。2つ目は、テンプレート化された言葉や一般的な話ではなく、相手や話の内容に応じた、ふさわしい話し方を臨機応変にするための「話す力」。3つ目には相手、自分自身、相手と自分の関係の変化の3つを「観る力」とされます*。
*カウンセリングを行うには、専門のトレーニングを受けることが必要です。

キャリアコンサルタント養成講習の受講者からは「カウンセリング技法やキャリア理論が日ごろのビジネス場面で生きており、コミュニケーションの仕方や人材育成の捉え方が変わってきたように思う」「学んだことは面接の場面、従業員との面談、マネジメントなどあらゆる日常の中で活かせることが分かった」「日常のコミュニケーションをより円滑にする上でも実践できると思えたので非常に有意義だった」という感想もいただいています。

日常生活の中で、家族や友人、仕事仲間などとコミュニケーションスキルを学ぶのはなかなか困難だと思います。キャリアコンサルタントの資格取得に向けた勉強は、コミュニケーションスキルを磨く貴重なチャンスであるともいえます。

出典:「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック」2020年、p.40-41

キャリアコンサルタント養成講習GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム

キャリアコンサルタントの将来性

キャリアコンサルタントの将来性

キャリアコンサルタントへの期待は年々高まっている

労働者を取り巻く環境が変化し、働く人のキャリア形成や職業能力を開発する必要性が高まるにつれて、キャリアコンサルタントへの社会的ニーズも期待も年々高まっています。

2021年から2025年までを対象にした「第11次職業能力開発基本計画」では、産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進、労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進などの4つの方向性が示されています。
キャリアコンサルタントは、教育訓練の効果的実施等に向けた企業におけるキャリアコンサルティング推進、企業へのセルフ・キャリアドック*1の導入支援、夜間・休日、オンラインを含めた労働者個人がキャリアコンサルティングを利⽤しやすい環境の整備、キャリアコンサルタントの専門性の向上や専門家とのネットワークづくりの促進、企業の人材育成の取組への提案等に向けた専門性の向上、労働市場インフラの強化に向けたジョブ・カード*2の活用促進、全員参加型社会の実現に向けては、非正規雇用労働者や就業経験の少ない若者、ニートや高校中退者、中高年労働者、障がい者、就職氷河期世代、外国人労働者ほかのキャリア形成支援など基本的施策の様々な場面で活躍が期待されています。

*1 セルフ・キャリアドック・・・企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。
出典:厚生労働省「セルフ・キャリアドック導入の方針の展開

*2 ジョブ・カード・・・厚生労働省が様式を定めた、「生涯を通じたキャリア・プランニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールです。キャリアコンサルティングなどの相談支援の場面で用いられ、学生、求職者、在職者など幅広い方の求職活動やキャリア形成に利用されています。
出典:厚生労働省「ジョブ・カード制度総合サイト

出典
厚生労働省「第11次職業能力開発基本計画(令和3年度~令和7年度)(概要)

国は「労働者の主体的なキャリア形成支援」に注力している

2022年9月6日に公表された「令和4年版 労働経済の分析(労働経済白書)」には、「労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題」という副題がついており、国がキャリア形成支援がもたらす効果に期待をにじませていることが伺えます。

キャリアコンサルティングについては、「第4章 主体的なキャリア形成に向けた課題」の中で下記のように述べられています。

キャリアコンサルティングについては、キャリアコンサルティング経験のある者の方が、職業生活の設計について主体性が高い傾向があり、転職行動や異分野へのキャリアチェンジも活発に行っている傾向がある。
また、企業内部よりも、企業外や公的機関によるキャリアコンサルティングを受けた場合、自らの能力が他社に通用する可能性や、継続的な自己啓発の必要性についての意識が高い傾向があり、客観的な第三者への相談により、自らの市場価値の把握や自己啓発に向けた意識の向上につながる可能性があることが示唆された。
キャリアコンサルティングによりキャリアの棚卸しを行い、自己の今後のキャリアの見通しが明確になった労働者は、主体的なキャリア形成の意識がより高く、現在の職場でキャリアを形成していく上で有益な効果を感じているとともに、結果として円滑な転職やキャリアチェンジの実現につながる可能性があるといえる。

出典:厚生労働省「令和4年版労働経済の分析─労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題―」p280

また、人口減少で労働力供給が制約される中でも、定型業務の人材ニーズは減少する一方で、介護・福祉分野やIT分野など一部分野などでは需要が高まっています。このように労働力需要の変化に対して、国は労働者の主体的な転職など外部労働市場を通じた労働力受給の調整機能が重要であるとしています。

キャリアコンサルタントに求められる役割は時代に合わせて変化する

労働政策研究報告書によると、「キャリアコンサルタントの活動領域については、従来、企業・学校・需給調整機関・地域の4つの領域が主に考えられることが多かったが、本調査では、その他の活動領域も広がりを見せつつあることがうかがえた」とあります。具体的には、精神障害や発達障害等を含む障がい者の就労支援、がん患者や難病患者の仕事と治療の両立、生活困窮者などの就労支援などが挙げられています。加えて、LGBTQなどのマイノリティ性がある人達が、外見や内面の違いにかかわらず力を発揮できるように支援することも課題のひとつです。
今後はさらに個別性の高い対応が求められるため、キャリアコンサルタントが関連機関の専門家などと連携しながら支援にあたる必要があります。

出典
独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査
厚生労働省「令和4年版 労働経済の分析」を公表します

キャリアコンサルタント資格取得のメリットと将来性のまとめ

  1. 資格取得の時間や費用、就業などの面で役に立たないと言われることも
  2. 相談者の人生設計に関わるために必要なカウンセリング基礎力が習得できる
  3. 人的資源管理、人材マネジメントについて学べる
  4. カウンセリング実技を学びながらコミュニケーションスキルも磨ける
  5. 人生設計の多様化・個別化が進むにつれて社会的ニーズは増大傾向