キャリアコンサルタント養成講習 GCDF-Japan
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キャリアコンサルタントに興味を持ったり、資格取得を検討したりする方の中には、できれば独学でキャリアコンサルタントを取得したいと考えている方もいるのではないでしょうか。
キャリアコンサルタント試験は、一部の受験条件を満たしていれば独学で受験することも不可能ではありません。ただし、面接実技も含まれるこの試験は、独学だけでは難易度が高いことも事実です。
この記事を読むと、独学でキャリアコンサルタントの取得を目指せるのか、国家試験の受験条件や出題範囲、勉強方法はどのようなものかを知ることができます。資格取得を目指すか考えるためのヒントになるでしょう。
キャリアコンサルタントは独学でも取得できる?
キャリアコンサルタント試験は、受験資格によっては独学で受験することも可能です。まずは受験資格についてご説明します。
キャリアコンサルタント試験には受験資格がある
キャリアコンサルタント試験の受験資格は、3種類あります。
受験資格 | |
---|---|
1 | 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方 ・・・受験者の約9割 |
2 | 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の 経験を有する方 ・・・受験者の約1割 |
3 | 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方 |
受験資格をわかりやすく説明すると、このようになります。
「1.厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した方」とは、キャリアコンサルタント養成講習を修了した方のことを指します。
「2.労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の 経験を有する方」とは、企業や需給調整機関、大学などで、3年以上キャリアコンサルティングを実践している経験のある方のことを指します。
「3.技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した方」とは、キャリアコンサルティング技能検定1級または2級に一部合格している方のことを指します。
厚生労働省が発表した第20回キャリアコンサルタント試験結果の概要によると、受験者の約9割がキャリアコンサルタント養成講習を修了した方、約1割がキャリアコンサルティング実践経験のある方でした*。
3年以上キャリアコンサルティングを実践している人の割合が多くないため、受験者の大半はキャリアコンサルタント養成講習を修了することで、受験資格を得ているようです。中には、キャリアコンサルティング実務経験の受験資格を満たしているものの、キャリアコンサルタント養成講習を受講し、基礎から学んでいる方もいます。
出典
厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」
* 学科試験・実技試験の受験資格者別受験者数を、それぞれの試験の総受験者数で割った数を参考に使用しました。
厚生労働省 「第20回キャリアコンサルタント試験結果の概要」
受験資格別の合格率を比較。独学の場合は?
直近に実施された7回分のキャリアコンサルタント試験結果から、キャリアコンサルタント養成講習修了者(養成講習修了)とキャリアコンサルティング実務経験者(実務経験)の合格率を調べました。
上のグラフを見ると、学科試験と実技試験のいずれにおいても、キャリアコンサルティング実務経験で受験した人よりも、キャリアコンサルタント養成講習修了者のほうが合格率が高いことがわかります。
この合格率と独学による受験とはどのような関連性があるのか?キャリアコンサルタント試験に向けてはどのような勉強が必要なのか?次の章から詳しくご説明します。
キャリアコンサルタント試験の内容は?
まずは、キャリアコンサルタント試験について詳しく見ていきます。
キャリアコンサルタント試験は、学科試験と実技試験で構成されています。それぞれの試験の形式と出題範囲を確認しましょう。
学科試験の試験形式と出題範囲は?
学科試験は、四肢択一問題が50問出題され、100分間で解答します。
問題は、4つの出題範囲の中から出題されます。
実技試験の試験形式と出題範囲は?
実技試験は、論述試験と面接試験の2種類が行われます。論述は記述式問題(50分)、面接はロールプレイと口頭試問(20分)です。
論述試験
論述とは、事例記録または逐語記録を読み、設問に解答する試験です。
試験団体で出題方式が異なります。詳しくは「団体によって出題方法と評価基準が異なるので注意」の項目でご説明します。
面接試験
面接のロールプレイとは、受験者がキャリアコンサルタント役になり、相談者役とキャリアコンサルティングを行うことです。実際のキャリアコンサルティング場面では1時間程度行われる面談ですが、試験では面談開始から最初の15分という設定で行われます。
登録試験機関のページでは、「ロールプレイでは、キャリアコンサルタントとして相談者を尊重する態度や姿勢(身だしなみを含む)で、相談者との関係を築き、問題を捉え、面談を通じて相談者が自分に気づき、成長するような応答、プロセスを心がけてください」と言及されています。
試験には、いろいろな年代、職業、家族構成、抱えている悩みの相談者役が準備されていますが、個々の受験者がどのような相談者役からどんな内容の相談を受けるかは、当日試験が開始されるそのときまでわかりません。
ロールプレイが終わったら、口頭試問に移ります。口頭試問とは、自ら行ったキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答えるものです。口頭試問が終わると、面接試験は終了です。
面接試験は、試験団体によって評価区分が異なります。詳しくは「団体によって出題方法と評価基準が異なるので注意」の項目でご説明します。
面接試験の出題範囲は以下の通りです。
団体によって出題方法と評価基準が異なるので注意
キャリアコンサルタント試験は、2つの団体で実施されています。
学科試験はどちらでも同じ問題が出題されます。一方、実技試験は、試験団体によって出題方式や評価区分が異なりますので注意しましょう。
2つの試験団体で異なる点
キャリアコンサルティング協議会 | 日本キャリア開発協会 | |
---|---|---|
論述の出題方式 | 事例記録を使用。 キャリアコンサルタントの意図や受験者自身が考える問題、今後の進め方を問われる。 | 逐語記録を使用。 2つの逐語記録の違いや応答についてや今後の具体的な展開方法について問われる。 |
面接の評価区分 | 「態度」「展開」「自己評価」 | 「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」 |
出典:キャリアコンサルティング協議会 国家資格 キャリアコンサルタント試験「過去問題」、日本キャリア開発協会 国家資格キャリアコンサルタント試験「過去問題」
論述試験で使われる記録は、試験団体によって異なります。キャリアコンサルティング協議会が実施する論述試験では、事例記録を使います。
事例記録とは、キャリアコンサルタントが実際に行った面談を元に作られるもので、キャリアコンサルタントが、スーパーバイザーと呼ばれる指導者から指導・教育を受ける場で使用します。試験では事例記録を読み、キャリアコンサルタントの意図や受験者自身が考える問題、今後の進め方を問われます。
また、キャリア開発協会が実施する論述試験では、逐語記録が使われます。逐語記録とは、相談者との面談を一語一句、文字に起こしたものを指します。試験では、2つの逐語記録の違いや応答についてや今後の具体的な展開方法について問われます。
キャリアコンサルティング協議会の評価区分は「態度」「展開」「自己評価」なのに対し、日本キャリア開発協会の評価区分は「主訴・問題の把握」「具体的展開」「傾聴」です。
出題方式や評価区分は異なるものの、試験の出題範囲は共通のものです。基礎を学んでおけばいずれの試験も対応できると思いますが、念のため、各団体のサイトで過去問題をチェックしましょう。
キャリアコンサルタント試験を独学で受験するときの勉強法や勉強時間は?
独学でキャリアコンサルタント試験に挑戦するなら、どのような勉強法がよいのでしょうか?また勉強時間はどのくらい確保すればよいのでしょうか?受験科目ごとに見ていきます。
勉強時間は経験等によって異なる
キャリアコンサルタント試験を独学で受験する場合の勉強時間は、キャリアコンサルティング関連知識や関連職種の経験の有無によっても異なると考えられます。
ご参考までに、厚生労働省が定めるキャリアコンサルタント養成講習のカリキュラムは150時間以上とされています。
学科試験は過去問題を繰り返し解いて対策を
試験団体のサイトでは、過去に実施した3回分の試験問題が公開されています。まずは試験問題をダウンロードして、ざっと目を通してみましょう。
受験日までに過去問題を繰り返し解いておくことで、出題傾向がわかります。また、出題された理論や概念などは、キーワードをおさえるだけでなく、参考書を活用して背景に至るまで理解を深めておけば応用問題にも対応できるようになります。
キャリアコンサルタント養成講習「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム」の受講修了後に合格した人からは、「過去問を3度は繰り返した」「解答率が9割を超えるまで問題を解き続けた」「アプリを使って通勤時に勉強した」という声もありました。
参考書や問題集はいろいろなものが市販されています。直接手にとって、ご自身に合った1冊を見つけることをおすすめします。
筆者のおすすめは、2022年に発刊された木村周・下村英雄「6訂版キャリアコンサルティング理論と実際 ―専門家としてのアイデンティティを求めて―」です。試験に出題されるキャリアコンサルティングの知識・技能を体系的に理解できます。加えて、キャリアコンサルティングの歴史やキャリア理論・産業・組織心理学なども詳しく網羅されています。キャリアコンサルタントの「バイブル」として、資格取得後も読み返したい一冊です。
出典
木村周・下村英雄「6訂版キャリアコンサルティング 理論と実際 ―専門家としてのアイデンティティを求めて―」一般社団法人 雇用問題研究会、2022年
論述試験は対策講座受講も視野に
論述試験も、学科試験と同様、試験サイトから過去問題をダウンロードして解いてみましょう。
論述試験の模範解答は登録試験団体からは公表されません。個人がブログやYouTubeなどで公開しているものもありますが、それはあくまでも解答の一例です。試験対策講座の受講を通して出題の意図や回答ポイントを把握したうえで、過去問を繰り返し解いてみることをおすすめします。
面接実技にはロールプレイングの練習が必須
面接試験の準備は、キャリア相談の現場に近い環境を設定したロールプレイングを何度も経験することに尽きるでしょう。
対人支援スキルを、ひとりで習得するのは困難です。ロールプレイングをする機会がなければ、養成講習団体などが行っている面接対策講座を受講するのも一つの方法です。対策講座では、面接が終わった後の口頭試問も合わせて練習できるのもメリットです。
面接試験に模範解答はありません。100人いれば100通りの面接があると言われます。
受験者の中には、人材紹介業で30年以上の経験があるものの「相手の気持ちを聴くことをあまりしていなかった」「問題解決を優先して、つい質問ばかりしてしまう」「相手が沈黙するのが怖くて、つい話し過ぎてしまう」という実技の課題を見つけた人もいます。
個人がブログやYouTubeなどで公開しているロールプレイングは参考程度に、自身の目の前にいる相談者を尊重した面接を行えるように練習を重ねましょう。
出典
キャリアコンサルティング協議会「2022 年度前期 2級実技試験 面接試験官から観た受検者の傾向」
実力診断を受験して課題や苦手分野を知る
キャリアコンサルタント試験の本番を迎える前に、民間の実力診断を受けてみるのもよいでしょう。実力診断では、国家試験と同じ形式の学科試験と実技試験を受けられます。試験結果で自分の実力や苦手分野を知ることで、試験までの限られた時間を強化したい分野の対策にあてられます。
▼関連ページ
キャリアコンサルタント模擬試験 CCA実力診断プログラム(ベーシック)
キャリアコンサルタント試験を独学で受験するメリットとデメリット
キャリアコンサルタント試験を独学で受験するメリットとデメリットを3つずつ挙げました。
独学で受験するメリット3つ
1.時間や場所に縛られずに勉強できる
独学であれば、講義の時間も指定されたオンラインミーティングも場所も関係ありません。定期的に受講するのが難しかったり、先の予定を組みづらかったりする方には、独学はピッタリです。
2.費用と時間を抑えられる
キャリアコンサルタント養成講習は数十万円の受講料がかかりますが、独学だけであれば数千円の書籍代程度で勉強できます。
独学なら、講習の開講まで待つ必要もありません。資格取得を思い立ってから、短期間で受験を目指すことも可能です。
3.自分に合う教材で、自分のペースで勉強できる
講習は、指定教材を使用することがほとんどですが、自分に合った参考書を探して使えることもメリットのひとつです。
独学は自分のペースで勉強を進められますので、他の人に合わせて待つこともありません。得意なところは早めに終わらせて、わからないところに時間をかけるなどの自由が利きます。
独学で受験するデメリット3つ
1.養成講習受講者に比べて合格率が低い
キャリアコンサルタント試験の合格率は、第1回試験から現在に至るまで、キャリアコンサルティングの実務経験ありの受験資格で受験した人よりも、キャリアコンサルタント養成講習修了者のほうが高い結果が出ています。
学科試験の合格率が低い要因は、独学は参考書や動画などを使って理解することが中心のため、体験的に学ぶ養成講習に比べて知識が定着しづらい可能性があると考えられます。
養成講習では、キャリア理論や倫理などの知識を体系的に、グループワークを通して体験的に学ぶため、知識が記憶に残りやすくなります。
独学の場合は、わからないことが出てきても、質問できないことも知識が定着しづらい原因のひとつと考えられるでしょう。ネット検索などで解決できたときはよいのですが、そうでなければわからないことを残したまま受験することになってしまいます。
実技試験の合格率が低い要因は、下記でご説明します。
2.面接実技の練習機会がない、もしくは少ない
面接での対人支援スキルを身につけるには、キャリア相談の現場に近い環境を設定したロールプレイングを何度も経験することが必要です。
キャリアコンサルタントは、目の前にいるクライアントの相談に応じて助言や指導を行う専門家です。国家試験では、試験会場にいる相談者と対話を重ねているうちに、態度や姿勢、面接が展開しているかなどが測られています。加えて、口頭試問では自己評価についても評価されます。
独学の場合は、講師も仲間もいません。
学習プロセスの中で他者と刺激しあい、思い込みや考え方のクセに気づくことで自分自身が変わっていく体験は残念ながらできません。
実務でキャリア相談を多く経験されている方でも、15分間のロールプレイングや口頭試問を行うのは初めてという方もいらっしゃるかもしれません。面接の練習機会がなかったり、少なかったりする場合、養成講習団体などが行う対策講座を受けてみるのも一つの方法です。
3.スケジュール管理が必要、進捗状況を把握しづらい
キャリアコンサルタント養成講習のカリキュラム、150時間相当の学習を独学するには、学習計画を立てて、スケジュールに落とし込まなければなりません。また、今どのレベルまで理解が進んでいるのか進捗状況が把握しづらいこともあります。
キャリアコンサルタント養成講習とは?
ここまで、キャリアコンサルタント試験を独学で受験する場合について説明してきました。
キャリアコンサルティングの実務経験がない方や、実務経験はあるものの独学で受験するのは心細いという方に向けて、キャリアコンサルタント養成講習についてもご説明します。
キャリアコンサルタント養成講習で学べることは?
キャリアコンサルタント養成講習は、約3ヶ月でキャリアコンサルティングの基礎を学べるプログラムで、国家試験受験者の約9割が受講しています。国家試験では、実務経験ありの人に比べて、キャリアコンサルタント養成講習の修了者のほうが合格率が高いことも特長です。
キャリアコンサルタント養成講習では、知識・技能の両側面からキャリアコンサルティングの基礎を学ぶことができます。実技に関しては、約150時間に及ぶカリキュラムのうち、面接実技に70時間以上が充てられます。少人数でロールプレイングを繰り返し行い、実技スキルの習得を目指せます。受講期間を通じて、講師やキャリアコンサルタントを目指す仲間と相互に刺激を受け合えるのも特長のひとつです。
独学では不安な方には養成講習をおすすめします。
キャリアコンサルタント養成講習にかかる費用・時間
2023年4月現在、キャリアコンサルタント養成講習は22団体で実施されています。
受講費用は団体によって異なり、約25万円から約44万円の幅があります。専門実践教育訓練給付金の対象の方であれば、後日受講料の最大70%の支給を受けることも可能です。
講習時間は厚生労働大臣により150時間以上と定められ、おおよそ3ヶ月から6ヶ月かけて受講します。
キャリアコンサルタントの仕事と活躍
キャリアコンサルタントの資格を取得したら、どのような仕事に就けるのでしょうか?
2018年に発表された独立行政法人労働政策研究・研修機構の「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」によると、活動の場は企業をはじめ、ハローワークや派遣会社などの需給調整機関、学校教育機関などがあります。
資格者の約3割がキャリアコンサルティングの仕事を行っていて、「人事」「総務・経理・管理」や、公務の仕事と関わりの深い職種や教育関連職種、専門職種、企業内職種も多いことがわかっています。
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キャリアコンサルタントの年収や働き方は?活動状況についても解説
キャリアコンサルタントの仕事とは?仕事内容や活躍の場、年収について解説
出典
独立行政法人労働政策研究・研修機構「労働政策研究報告書 No.200 キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査(平成30年3月16日)」
キャリアコンサルタントは独学でも取得できる?のまとめ
最後に、キャリアコンサルタント資格を独学でも取得できるかについてまとめました。
- キャリアコンサルタント試験には受験資格がある
- 受験者の9割が養成講習受講、実務経験での受験は1割
- 実務経験があれば、独学での受験も不可能ではない
- 独学の場合、面接対策を行うのは困難
- 面接対策講座を受講するか、養成講習受講も視野に