キャリアコンサルタント養成講習 GCDF-Japan
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キャリア支援やキャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーについて調べていく過程で、「GCDF」をご存知になった方もいらっしゃるかと思います。
今回は、GCDFについて、GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格者である筆者がトレーニングプログラムのテキストをベースにご説明します。
この記事を読むと、GCDFとはどんなプログラムなのか、どんな役割を持って活動している資格者なのか、理解できるでしょう。
記事を読んでくださった方の中で、いつかGCDFを受講し、資格取得される方がいらっしゃったらうれしく思います。
GCDFとは?
GCDFとは、Global Career Development Facilitator*の略称です。
GCDFは、個人のキャリア・ディベロプメント(発達・開発)を支援する者に必要とされる、基礎的な知識・スキルをもった実務家レベルの資格・カリキュラムです。
Global Career Development Facilitator を日本語に直訳すると「全世界でのキャリア・ディベロプメント(発達・開発)の促進者」となります。
GCDFは「個人のキャリア・ディベロプメント支援をする職業に従事する人のための資格」として、1997年に米国で始まりました。
当初「CDF」という名称で始まったこの資格は、2001年6月より「GCDF-U.S.」に改称されました。現在、GCDFは、米国、日本、カナダ、ニュージーランドをはじめ、ヨーロッパ、アジア地区でも展開されています。GCDF-Japanとは日本版の資格で、日本の社会風土や労働環境に合わせて開発されたものです。
*GCDF資格者と支援を受ける個人は、上下関係のない同等の関係とされています。GCDFの「F」Facilitatorは、個人がキャリアに関して意思決定する際の支援者=ファシリテーター(促進支援者)という意味です。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.20
GCDF資格を取得するには?
GCDFは、日本においては「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」という資格名称で運営されています。
GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格を取得するには、GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム*を修了し、指定の試験に合格することが前提となります。GCDFは、キャリア支援実務者向けに開発された資格のため、資格認定申請の際は最終学歴に応じたキャリア実務経験を申告する必要があります。
*GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムは、国家資格キャリアコンサルタント養成講習として厚生労働大臣の認定も受けています。そのため、GCDFを受講すると、キャリアコンサルタントとGCDFの双方の資格取得を同時に目指せます。
GCDF資格者に必要な12の能力要件、コンピテンシーとは?
GCDFを受講すると、まずコンピテンシーについて学ぶことになります。
GCDFとして活動するには、資格者に必要な能力要件「コンピテンシー」12分野を身につけることになります。
■GCDF-Japanのコンピテンシー
- キャリア・ディベロプメントに関する理論・モデル
キャリアに関する各理論・モデルを理解している。- ヘルピング(カウンセリング)
カウンセラーとしての基本的態度を有し、カウンセリングの6ステップ・プロセスとスキルおよびその理論的背景を知っている。- キャリア・アセスメント
クライアントにとって適切なアセスメント、アセスメントトレーニングを理解、利用できる。フォーマル・アセスメントは発行元ガイドラインに従い実施利用する。- 法律とGCDFとしての倫理
GCDF倫理基準を理解し、それに従うことができる。また現行の労働関連法規を理解している。- 多様な人々(特別なニーズをもつ人々)との協働
さまざまなニーズをもつグループや集団の特別なニーズを理解し、サービスを提供する。- 労働市場情報・キャリア情報(LMI)とその情報源
労働市場や職業情報とその傾向を理解している。最新の情報源を活用する。- テクノロジー
最新のテクノロジーであるコンピュータ(PC)やインターネットを活用する。- エンプロイアビリティ・スキル(EMP)
就職・転職活動手法やクライアントが雇用されるための能力開発を援助する。- クライアントおよび同僚のトレーニング
クライアントがキャリアゴールを達成するためのトレーニングプログラムを開発する。そのプログラムを活用して、同僚のGCDFやクライアントのトレーニングを実施する。- キャリア・ディベロプメント・プログラム(CDP)のマネジメント
さまざまな組織(各サービス機関)や専門家と協力しながら、クライアントのキャリアコンサルタント・ディベロプメントを促進するプログラムを開発・運営することができる。- プロモーションと広報活動
キャリアに関する研究会・事例研究会の計画、実践など、キャリア・ディベロプメント・プログラムのマーケティングとプロモーションを行う。- コンサルテーションを受ける
定期的に専門家(カウンセラー、研究者、スーパーバイザー、コンサルタントなど)と相談する。- ストレスマネジメントとメンタルヘルス*日本独自
ストレスとこころの病気に対する理解を深め、クライアント支援に役立てる。- ファイナンシャルプランニング*日本独自
クライアント支援の幅を広げる「お金」の知識を身につける。
GCDFの授業では、コンピテンシーの理論的な背景や必要性について学びます。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.22-23
任務・役割と活躍の場
キャリアカウンセラーとしての仕事は、一人の相談者に対する1対1の面談にとどまりません。
個人のキャリア・ディベロプメント(発達・開発)促進に寄与する活動は、いずれもGCDF の任務であり、個人(や集団)をトータルに支援することが求められます。
企業や教育機関、キャリアセンターなどといったさまざまな場で、たとえば以下のような、多様な活動を行うことになります。
[GCDF の活動の一例]
・キャリア・ディベロプメント(発達・開発)促進のワークショップの開催や、ワークショップおよびグループカウンセリングのファシリテート
・就職活動のスキルトレーニングの実施
・興味や価値観・適性などを明らかにするアセスメント(心理検査)の活用
・職業情報などの労働市場情報の活用
・クライアントのキャリア・ディベロプメント促進のためのプログラム開発・実施
・キャリア・ディベロプメントを促進するための社会システム構築への貢献、広報活動
GCDFには、カウンセリング技術だけでなく、その他コンピテンシーに定められているような極めて幅広い知識やスキル経験が求められるのです。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.21
アメリカでGCDFが開発された背景は
アメリカで、GCDFが開発された背景についてご説明します。
GCDF-Japanの原点は、1997年8月に米国で開始されたCDF プログラムに始まります。
1990年代前半、米国は不況に苦しんでいました。
当時、クリントン政権は長引く不況に対応すべく、さまざまな雇用支援対策に取り組みました。その成果の一つが、CDFという専門職のトレーニングブログラムと資格の発足です。
具体的には、日本のハローワークの機能を拡充したOne-stop Center (ワンストップ・センター)を全国に展用し、その職員をCDFとしてトレーニングすることで、より高品質なサービスを提供し、失業問題で悩んでいる国民を支援しようというものでした。
米国でのキャリアカウンセラー資格や免許の取得には、大学院修了後、数年の実務経験とスーパービジョンやコンサルテーションを定期的に受けることが必要、といった厳しい条件があります。
GCDF 資格は、信頼性の高いキャリア支援者を生み出す必要性があることから、カウンセラー教育に携わる有識者などにより開発されました。
そして、基礎的な知識・スキルをもつ実務家レベルの資格・カリキュラムとして誕生したのです。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.24
GCDFの開発・運営機関
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.25より引用
※2024年現在、各国資格は追加・削除など変更されている可能性があります。
開発当初、CDFのプログラム発足にあたっては、カウンセラー教育に携わる有識者がNOICC(National Occupation Information Coordinating Committee、全米職業情報コーディネート委員会)に集められ、NCDA(National Career Development Association、全米キャリア・ディベロブメント協会)の協力のもとに開発されました。
まず1993年から1997年にかけて、企業・産業界、数育機関、政府機関に対して、NCDAの定めるキャリアカウンセラーのコンビテンシーガイドラインに基づいた82項目にわたる調査が実施されました。
そして、その調査結果と2年間のフィールドテストに基づいて、最終的にCDF コンピテンシーが制定され、そのコンピテンシーを基礎に、CDFトレーニングカリキュラムの開発が行われました。
最初のカリキュラムは、オークランドのCDTI(Career Development Training Institute)で開発された、4つの30時間のモジュールから構成されるものでした。
その後、NCDAをはじめ、各国のカリキュラムが米国CDFのトレーニングとしてCCE,Inc. (Center for Credentialing and Education, Inc.)より認定されています(2019年12月現在)。
また、この一連の動きは全世界に広まり、それに対応すべく CCE,Inc.はCDFをGCDFと改称し、全世界への対応を推進しました(図表1)。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.24-25
GCDF-Japanが開発された背景
1990年代、GCDF-Japanが開発された当時の日本では、労働環境や就労環境の変化によって「個人が自分自身のキャリアについて責任をもつ」といった考え方が浸透し始めていました。
企業や教育機関を問わず、「キャリア」に関する興味や関心が高まり始めていたのです。
一方で、キャリアカウンセリング分野における専門的訓練が、米国などと比較して不足していることが、日本の有識者の間で指摘されていました。
そうした日本における実務家養成のニーズを受け、GCDF の日本向け資格の発行準備が始まりました。
GCDF-Japanの発足にあたっては、米国GCDFトレーニングをベースに、カウンセラー教育の課題、日本の雇用環境や労働市場に合わせた改訂が試みられました。
トレーニングおよびテキストの開発は、株式会社リクルートが、NOICCの指導要領のもと、国内外の各有識者の助言を受けながら、約2年の歳月をかけて行いました。
GCDF-Japanの開発・運営機関
1999年、株式会社リクルートの開発したGCDF-Japanのトレーニングおよびテキストが、最初に米国CCE,Inc.により承認され、2001年より日本でトレーニングの提供が開始されました。
2003年5月には、キャリアカウンセリングの普及およびキャリアカウンセラーの技量向上の機会と教育の提供を目的に「特定非営利活動法人 キャリアカウンセリング協会(CCA)」が設立され、GCDF-Japanの運営は株式会社リクルートからCCAに移管されました。
出典:『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2020年、p.25
GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムとは
GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムは、GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格のコンピテンシー(必要な能力要件)を習得できると同時に、厚生労働大臣認定キャリアコンサルタント養成講習としても認定されています。
全12回の講義が、通学またはオンライン講習(Zoomミーティングを使用)で行われます。(講義のほかにホームワークがあります)
GCDF-Japanを受講すると取得できる資格は?
GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムを受講修了することで、GCDF-Japanキャリアカウンセラーに加えて、国家資格キャリアコンサルタントの取得を目指せます。さらに、2024年4月からはGCDF-US資格の資格取得も目指せるようになりました。
GCDF-Japan受講者の声
GCDF受講者の声を、一部ご紹介します。
- カウンセリング実技はとても役に立ちました。講座の内容も国家試験対策だけではなく実際に即していて、予想を超えて良かったです。
- 先生がすばらしい。私にとってはそれに尽きます。私にとって初めて理解できる授業、初めての恩師と思える先生に出会えました。
- 最高。受けて良かった。キャリアコンサルティングを学びながら自分のキャリアの整理ができて、なぜキャリア教育に興味を持ったのか自己理解が深まりました。今のキャリアのルーツに気付けたのはこの学習に挑戦したからだと思います。
- 挑戦をしてみて本当によかったです。今の仕事にも活かせるし、今後の人生で自分のためにも、人のためにも役立つことを学ぶことができたと思います。
Googleのクチコミも、よろしければ参考になさってください。
Google 特定非営利活動法人キャリアカウンセリング協会のクチコミ
GCDF-Japan資格を取得するメリット
資格を取得すると、GCDF-Japanキャリアカウンセラーやキャリアコンサルタント資格取得後の学習プログラムの割引や無料招待などがあります。2024年4月からは、GCDF-Japanキャリアカウンセラー資格を取得すると、一定の条件を満たすことでGCDF-US資格も取得できるようになりました。
GCDF資格のメリット(キャリアカウンセリング協会)
US資格の取得も可能に
GCDF-US資格は、米国CCE,Inc.が発行する、米国におけるキャリア支援者の専門性を証明する資格です。資格有効期限を設けており、5年毎の更新制となっています。
GCDF-US資格を取得することで、関連学会や団体への所属を通じ、キャリア支援者としての活動の幅を広げられます。
GCDF-US資格取得について(キャリアカウンセリング協会)
GCDF-Japanとキャリアコンサルタントの違いは?
キャリアコンサルタントは、国家資格です。
登録制(5年の更新)の名称独占資格で、守秘義務・信用失墜行為の禁止義務が課されています。キャリアコンサルタントになるためには、キャリアコンサルタント試験の合格等が必要です。
キャリアコンサルタントとは?資格取得までのステップと合格後の仕事や学習について解説
GCDF-Japanキャリアカウンセラーは、米国CCE,incが認定する民間資格です。
キャリアコンサルタント国家資格が創設される前は、厚生労働省職業能力開発局長が指定した「標準レベル」の資格と位置づけられていました。2016年4月のキャリアコンサルタントの国家資格化以降も、人材のプロフェッショナルに選ばれる民間資格として存続しています。
資格を取得するには、「GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムを修了すること」が条件のひとつとなっています。
GCDFと国家資格の更新要件比較(CCAのキャリアコンサルタント向け学習情報)
GCDF-Japan資格を取得する方法
GCDF-Japan資格の取得のためには、米国CCE, Inc.による審査を受ける必要があります。
審査に通過されますと、GCDF-Japanキャリアカウンセラーとしての認定を受けることができます。
GCDF-Japan資格 新規申請について(キャリアカウンセリング協会)
GCDF-Japan資格の合格率は?
GCDF-Japan資格の取得条件の中に、CCA実力診断プログラム(ベーシック)、キャリアコンサルタント試験(国家資格)、キャリアコンサルティング技能検定のいずれかの合格という条件があります。
3つの試験でもっとも合格率が高いのは、キャリアコンサルタント試験です。
また、CCA実力診断プログラム(ベーシック)の合格率は以下のとおりです。
GCDFの継続学習とは?
キャリアカウンセラーが十分なカウンセリングを実施するためには、継続学習が必要不可欠です。GCDF-Japan資格では、継続学習ガイドラインに沿う3年間で45時間の継続学習を受講することが更新の要件となっています。
継続学習にカウントされるためには、コンピテンシーに該当し、かつ自分自身が学習や指導を受けるインプット形式のものであることが条件です。
継続学習(キャリアカウンセリング協会)
GCDF資格者の活躍例
GCDFの卒業生は、個別相談やグループ対象プログラムの提供等を行うキャリアコンサルタント・キャリアカウンセラーとしてさまざまな領域で幅広く活躍しています。
GCDF卒業生にインタビューした関連記事です。よろしかったら参考になさってください。
人事担当者がキャリアコンサルタント資格を持つ有用性について、株式会社Jストリーム人事責任者の田中潤氏にインタビュー
現役で活躍中のキャリアコンサルタント 山田千賀子さんにインタビュー
キャリア・アドバイザーによる相談制度を実施している博報堂DYホールディングスの石原洋子氏にインタビュー
*所属・役職は取材当時のものです。
GCDFについてのまとめ
最後にGCDFについてまとめました。
- GCDFは、Global Career Development Facilitatorの略称で1997年に米国で開始された
- 個人のキャリア・ディベロプメント(発達・開発)を支援する者に必要とされる、基礎的な知識・スキルをもった実務家レベルの資格・カリキュラム
- GCDF-Japan、日本の社会風土や労働環境に合わせて開発され、2001年開始
- GCDFを受講すると、GCDF-Japanキャリアカウンセラー、国家資格キャリアコンサルタント、さらに GCDF-US 資格の資格取得を目指せる