GCDFの開発背景と開発協力者

GCDFは「個人のキャリア・ディベロプメント支援をする職業に従事する人のための資格」として、1997年にアメリカで始まりました。

1990年代前半、アメリカは不況に苦しんでおり、さまざまな雇用支援対策に取り組みました。その対策のうちのひとつが「CDF*（現GCDF）」と呼ばれるキャリア支援専門職のトレーニングプログラムと資格の発足だったのです。具体的には、日本のハローワークの機能を拡充したワンストップセンターを全国に展開し、職員をCDFとしてトレーニングすることで、失業問題に悩む国民を支援するというものでした。
*当初「CDF（Career Development Facilitator）」という名称で始まったこの資格は、世界展開に対応するため2001年6月に「GCDF-U.S.」と改称されました。

CDF（現GCDF）のプログラムは、カウンセラー教育に携わる有識者が全米職業情報コーディネート委員会（NOICC）に集められ、全米キャリアディベロップメント協会（NCDA）の協力のもとに開発されました。

出典：『GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラム テキストブック1』株式会社リクルートマネジメントソリューションズ、2024年、p.25

GCDF-Japanの開発背景とは

1990年代の日本では、就労環境などの変化により「個人が自分自身のキャリアについて責任を持つ」という考え方が浸透し始め、「キャリア」に関する興味・関心が高まり始めていました。

一方で、キャリアカウンセリング分野における専門的訓練が、アメリカなどと比較して不足していると、日本の有識者の間で指摘されていました。

そのような日本における実務者養成のニーズを受け、日本向けGCDF資格の準備が始まりました。GCDF-Japanの発足にあたっては、アメリカのGCDFトレーニングプログラムをベースに、カウンセラー教育の課題や日本の雇用環境、労働市場に合わせた改訂が試みられ、2年の歳月をかけて開発されました。

本トレーニングおよびテキストは株式会社リクルートにより開発され、1999年に米国CCE,Incにより承認されました。2001年から株式会社リクルートが提供を開始、2003年からはキャリアカウンセリング協会（CCA）が提供しています。

主なプログラム開発協力者

橋本　幸晴

関東学院中学校・高等学校　教諭・カウンセラー
明治学院大学・同大学院心理学専攻　非常勤講師
キャリアカウンセリング協会　特別講師
GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングプログラムのカウンセリング専門講師のほか、CCAスーパーバイザー養成・認定プログラム、キャリアカウンセリング協会主催のキャリアコンサルタント更新講習（技能）の講師も務める。

三上　安雄

ひかり協同法律事務所所長弁護士
「会社分割の理論・実務と書式」、「現代型問題社員対策の手引」民事法研究会等分担執筆。

島　悟

産業精神保健研究所所長・神田東クリニック院長・EAPセンター長、京都文教大学人間学部臨床心理学科教授、慶應義塾大学大学院健康マネージメント研究科非常勤講師、慶應義塾大学医学部精神神経科学教室非常勤講師、杏林大学医学部衛生学教室非常勤講師の他、日本心身医学会代議員、日本産業衛生学会評議員、日本産業精神保健学会常任理事など多数務める。

大庭　さよ

メンタルサポート&コンサル東京　合同会社　代表社員（臨床心理士・公認心理師・キャリアコンサルタント）
『キャリアの心理学』ナカニシヤ出版（共著）、『オーガニぜ―ショナル・カウンセリング序説』ナカニシヤ出版（共著）、『「キャリアコンサルタント新能力要件」を読み解く』ナカニシヤ出版（共著）など。CCAスーパーバイザー養成・認定プログラム、キャリアカウンセリング協会主催のキャリアコンサルタント更新講習（技能）の講師も務める。

奥村　彰太郎

株式会社リクルートでマネー情報誌を創刊し発行人を務めた後、ファイナンシャル・プランナー（Certified Financial Planner）とキャリアカウンセラー（GCDF）の資格を活かし、"キャリアとお金"のアドバイザーとして独立。ライフキャリアをテーマとした研修の講師や個別相談を中心に活動している。キャリアカウンセリング協会主催のキャリアコンサルタント更新講習（技能）の講師も務める。

その他にも多数の専門家にご協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。

*略歴はいずれも執筆・監修当時のものです。